つなみ

穏やかな海、浜辺を歩く老人、蕾を撫でる風は未だ冷たく、凍てついた記憶を思い起こす、2011.3.11、絶句したあの日、鳴り止まぬサイレンと行き交うヘリの音が今でも耳から離れない、破壊された港町、パニックの人々が集まる避難所、俺は僅かな物資を運び込む、把握しきれない状況、絶たれた情報、家族の安否も分からぬまま、ずぶ濡れのおっちゃんと喚くおばちゃん、火事場泥棒と悪意のないデマ、目と耳疑う安全神話の崩落、南下する群集に決断を迫られる、「原子炉が爆発した、お前達も逃げろ」、大丈夫だ俺はここで言葉にならない鎮魂歌を捧げる、あれから15年、今日の陽射しは暖かく、思いが文字に溶けてゆく、何処からともなく気持ちが押し寄せる。

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